寅さんの街、映画の街

寅さんの街、柴又

映画「男はつらいよ」の寅さんの妹、さくらを演じている倍賞千恵子さんの地元が、私が生まれ育った同じ町だったので、物心つく頃から「寅さん」はよく観ていました。そして実際に、私の両親は幼い私を柴又へ連れて行ってくれましたが、その時のことは今でもよく覚えています。





江戸川の河川敷ではヒバリがしきりに鳴いていました。

柴又は東京の外れに位置しています。そんな場末の雰囲気が何処となく漂っていて、それが私には居心地が良く、またそれは映画「寅さん」の全体を優しく包んでいるようにも思えます。





門前町、川べりの街という点で浅草に似た街だと思いますが、柴又は場末の雰囲気をさらに深くしていった街だと言えるでしょう。繰り返しますが、それがいいんです。

浅草と同様に柴又にもうなぎの名店があります。同様に団子屋さんも一店舗のみならずあります。浅草に比して随分小さな街ですが、柴又は映画「寅さん」のあの小さな茶の間のように美味しいものがギュッと詰まった魅力のある街です。

寅さんという変わり者のキャラクターは、やはり東京の外れにある柴又からしか生まれようがなかったと考えられます。まさかあの赤坂の「とらや」からは生まれ出るはずがないでしょう。

あの車寅次郎という男、私は個人的に、在原業平、西行法師、宗祇、松尾芭蕉等と続いていく、一種の社会のはみ出し者の系譜の上に生まれた人物だと考えています。





だから面白く、また私たちは元気づけられるのだと思います。

寅さんの腕時計

上の写真は、寅さんが使用していたSEIKOのダイバーズウォッチです。柴又の「寅さん記念館」に展示してあるものです。寅さん愛用の腕時計として有名ですが、実は映画ではこの時計ばかりをしていたのではありません。

たとえば、鎌倉が舞台となった第29作「寅次郎あじさいの恋」。





私は全50作の中でも屈指の名作だと思っていますが、そのときしていた腕時計は同じSEIKOのもののようで、また同じく文字盤がダークブラウンではありますが、上のダイバーズウォッチではありませんでした。

私は腕時計をSEIKOのものばかり使ってきたのですが、それは確実に寅さんの影響です。





上の写真は私が現在使っている「KING SEIKO」です。「寅次郎あじさいの恋」の時の寅さんの腕時計に似せようと意識して選んだものです。

映画の街、大船

かつて鎌倉の大船に「夢の工場」こと「松竹大船撮影所」がありました。小津安二郎監督の作品をはじめここで数々の名作が作られたのですが、「寅さん」もこの撮影所で作られたのでした。

大船の街には寅さんを演じた渥美清ご贔屓の飲食店などもあったように聞いていますが、渥美清のみならず、映画監督をはじめ撮影所関係者たちは撮影所周辺の飲食店の中にそれぞれに馴染みの店を持っていて、しかもこれらのお店は単に彼らへ食事を提供する以上の役割を果たし、言うなれば、飲食店もまた一緒に映画作りに参画していたという面があったのでした。

上の写真は「コロナ堂」という大船の老舗です。宝石、時計、眼鏡などを販売していますが、このお店もかつては撮影所と浅からぬ関係を有していたそうで、俳優が身につける眼鏡などを作っていたと聞きますし、なんといっても、寅さんが映画の中でしていた金の指輪、アレはこのコロナ堂で作られたものなのです。

「寅さん」は単なる映画以上の、少し誇張して言えば私の血肉になっています。だから寅さんを演じた渥美清が亡くなったと聞いた時、私は一つの長い夢から覚めたような心持ち以上に、ヒリヒリと胸の辺りがえぐられたような肉体的の苦痛も併せて味わったのでした。

分厚い江戸時代に立脚した国際都市東京のガイドブックの紹介

Lab 鎌倉奥乃院では、かつての江戸・東京を憧憬しつつ現在の東京を見つめて、東京の詳しいガイドブックを制作しました。題して「本当の東京」といいます。是非、下をチェックしてください。

「本当の東京」〜東京の詳しいガイドブック〜 著者:遠田寿

以下、本の紹介の抜粋





首都東京、そして国際都市東京は、徳川氏の分厚い江戸時代の上に成り立っています。渋谷・新宿・六本木ばかりが東京ではありません。





本書では東京の本当の姿を浮き彫りにしていきます。





なるべく写真を多く掲載し、東京のガイドブックとしてもお読みいただけます。





目次:1 水の都、2 魚、3 家康、4 皇居、5 庭園、6 柴又、7 上野、8 浅草、9 日暮里、10 王子、11 板橋、12 八丈島、13 武蔵野

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鎌倉の観光ブックの紹介

私たちLab 鎌倉奥乃院が制作した鎌倉の観光ブックを以下に紹介します。





よろしかったらチェックしてみてください。

「鎌倉の鍵」 著者:遠田寿

以下、本の紹介の抜粋





鎌倉の街は緑の小箱。鍵をさして蓋を開けてみよう! そこにはたくさんの物語が詰まっています。





本書は鎌倉の初級編。それでも鎌倉の多面的、あるいはモザイク的全貌は示されています。さらに一歩踏み込んだガイドブックです。





写真をなるべく多く掲載し、ストレスなくご覧いただけるよう配慮しています。





目次:1 中世、2 境界地点、3 頼朝、4 実朝、5 大仏、6 作家、7 阿仏尼、8 Ozu、9 女優、10 海、11 江の島、12 庭

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「鎌倉の歴史と芸術」 著者:益田寿永

以下、本の紹介の抜粋





鎌倉という街は私たちを幸福にしてくれます。そして今や、その「私たち」とは、日本人だけではなく、世界の人々がこれに該当するでしょう。 中でもこの本の著者にとっては、その人生において、鎌倉は欠くことのできない必要な街になっています。鎌倉を思うだけで元気が出てきます。





どうして元気が出るのか?





鎌倉は多面的な街です。一面に中世の歴史があり、他面にはグルメやマリンスポーツ、それに文化、芸術、そして海山の自然があります。





人々に幸福をもたらす街、元気にしてくれる街、鎌倉とは一体どんな街なのか?





本書では、「歴史」「和歌・短歌」「絵画」そして「映画」の四つのテーマから鎌倉の正体を明らかにしていきます。いずれも鎌倉に深く根を張っている重要なテーマです。





鎌倉を知ることは日本を知ることであり、それはその歴史と美しさに我が身がいつも包まれているということです。





ストレスなくお読みいただくための一助として、要所に写真を掲載しています。





大まかな目次:「鎌倉の歴史」「鎌倉の和歌・短歌」「鎌倉の絵画」「鎌倉の映画 松竹大船撮影所」

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Lab 鎌倉奥乃院 代表 益田寿永