小説「出雲へ」(文庫本)、好評につき電子書籍化されました!

私を恐れさせる出雲の神々

オオクニヌシを祀る出雲大社

今日はお盆の中日です。ご先祖様が家にお帰りになっているそうですが、私の家では盆入りの13日の前日に庭にヘビが現れまして、「これはご先祖様の化身ではないか」と思ってみたりしました。

盆入りの前日に現れたヘビ

「見えないもの、手に触れられないものは信じない」とする行き方は合理的で大変結構だと思いますが、私などは、たとえば嘘をついたとき、人から





「本当か?」





と尋ねられ、さらに





神様に誓えるか?





と念を押されてしまうと、途端に諸手を挙げて降参してしまいます。神様に触れたことも見たこともありませんが、恐ろしいんですね。

よくテレビなどで政治家などが糾問される場面を目にしますが、この「神様に誓えるか?」の征矢の如き言葉を放ってすればいいのになぁとよく思います。・・・といって、彼らはうまくはぐらかしながらその場を乗り切るんでしょうけれど。それも神様に失礼がないような形で。

神様って、私個人的には恐ろしい何者かです。歴史的には恨みを呑んで死んでいった人が神様になっている場合もあるようですね。





反対に仏様ですが、これは全然恐ろしくなく、ただただ優しい人という感じです。





鎌倉の高徳院という浄土宗のお寺には有名な「鎌倉大仏」があります。私の一等好きな仏像ですが、あの野外に胡坐する凛々しいその顔貌のうちにも私は優しさを感じます。イヤ、むしろ眺めているうちに、無上の優しさを湛えたお顔に見えてくるんですね。

私は今鎌倉に住んでいますが、ここへ来る前は島根県の出雲にいました。ちょうど3年間。





正直に言えば、出雲での3年間は絶えず緊張を強いられ、少々誇張して言えば、そこでの暮らしは苦しいものでした。仕事や人付き合いが苦しかったのではありません。皆さんは不思議に思われるかもしれませんが、出雲の街に瀰漫している名状しがたい雰囲気が私に緊張を強い、苦しめたのであります。





吉凶でいえば、出雲は私には凶の土地でした。なぜなら、初めてそこへ足を踏み入れた瞬間に感じた不吉な予感、そんな先入観に初めから私の心が染まってしまったせいかどうかわかりませんが、とにかく出雲ではあまり楽しいことがありませんでしたから。

ヤマタノオロチの説話と関連が深い斐伊川

「名状しがたい雰囲気」と上に書きましたが、今もってその理由ははっきりしません。しかし、出雲がかつて天津神に対する国津神の楽土であったという神話、すなわちあの古事記にある出雲を舞台とした記述、どうもあの辺りに所以があるのではないかと今はおぼろに考えています。つまり、「国譲り」を天津神の国津神たちの楽土への「侵略」と見るのです。とすれば、出雲は恨みを呑んでいった人々が神々となって住まう街ということにならないでしょうか。

天津神とは多分ヤマトの人々であり、国津神とは出雲の人々でありましょう。そして、私はヤマトの子孫であろうからして、出雲へ立ち入った場合には、私の血あるいはDNAのレベルから





「汝、出雲では心して振る舞えよ」





とばかりに緊張を強いられるのではないでしょうか。

ところで上に、出雲での「人付き合いが苦しかったのではありません」と書きましたが、実は出雲の人たちとの付き合いでは些か苦労した部分もありました。生粋の京都人たちとの付き合いに気骨が折れるのと同じ意味でです。京都人と出雲人の共通性はよく語られるところです。

日本には歴史的に無視のできない重要な街があります。奈良、京都、鎌倉、東京などですが、この出雲もそこに入れられるべきだと思います。
出雲の人々のプライドの高さにはちゃんと理由があるんですね。

稲佐の浜から国引き神話に登場する三瓶山を望む

拙著、出雲を舞台にした小説の紹介

拙著の下記の小説が今年1月に発売されていますが、好評につき、この度電子書籍化されました。

拙著の小説

島根県の出雲市を主な舞台とする家族の物語です。ほかに島根県浜田市・益田市、鎌倉、東京、埼玉県の長瀞などを舞台にしています。

出雲の方へ旅行される方などに読んでいただきたいです。

購入の仕方

紙のバージョン
紀伊國屋書店等にも置いてありますが、下記の書名と著者名からネット検索し、Amazonや楽天ブックス等のネットストアでも購入できます。
ISBN:978-4-286-27347-1

電子書籍バージョン
書名と著者名からネット検索してください。AmazonKindleストアや楽天kobo電子書籍ストアなど約30ストアで販売中です。

書名  出雲へ
著者名 益田寿永

その他島根に関する本の紹介

「本当の島根」 著者:益田寿永

以下、本の紹介の抜粋





東京で生まれ育った著者が、島根県に実際に五年間暮らした体験に基づいて書いた、真に迫る「本当の島根」の観光ガイドブックです。





島根県はかつての出雲国、石見国、隠岐国が合体して出来た県ですが、いまだにこれら三国が併存している不思議な県です。
出雲国内には、なんといっても日本という国の成り立ちに大いに関係のある出雲王国があった場所。ここは日本史上、非常に重要な場所であることから、上古のエネルギーが磁場と化して、今なおここへ立ち入る者の心を励起させます。隣接する松江は湖水とお茶のホッと心の和む美しい街。





石見はなんといっても歌聖柿本人麻呂と画聖雪舟のそれぞれの道の第一人者に大変深いゆかりがある場所。そして山陰の小京都津和野は、森鴎外をはじめ、多くの偉人たちを輩出しました。





津和野よりさらに奥へ入った、広島県との県境に近い場所には、毛利元就躍進の第一の契機を与えた高橋氏の哀しい歴史、それから大森銀山(石見銀山)の争奪を巡る、尼子と毛利の激しい戦闘が宍道湖岸などで繰り広げられました。





隠岐国はなんといっても律令時代からの流刑の地。中でも後鳥羽院はこの島に流されたことで、無双の歌人になったのでした。





本書は島根の歴史のみならず、文芸、芸能、映画、生き物、グルメなどなど、その筆の及ぶところは多岐にわたっています。





随所に著者が撮影した写真を掲載してあります。





目次:





まえがき





1 田畑修一郎著「風土記 出雲・石見」





2 人麻呂と雪舟、そして益田氏の街





3 高橋氏哀史、そして車寅次郎





4 古事記、尼子氏、そして映画





5 水の都、松江





6 後鳥羽院終焉の島

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「風土記 出雲・石見」 著者:田畑修一郎

以下、本の紹介の抜粋





島根県出身の作家、田畑修一郎による、不思議の国、島根県の文学的ガイドブック。





島根県はかつての出雲国、石見国、そして隠岐国が合体して出来たのだが、とくに出雲国と石見国は、隣接していながら全然異質な国同士の合体だった。





古代王国と八百万の神、製鉄、和菓子と抹茶文化の出雲国、柿本人麻呂、雪舟、西周、森鴎外等偉人たちに深いゆかりがある石見国、これらのテーマについて、小説家ならではの筆致で面白く島根を解き明かしてくれる。





なお、田畑修一郎は、鎌倉文士の一人中山義秀と芥川賞を競い、惜しくも落選した小説家です。





目次:





まえがき





出雲





1 水と空と雲、2 出雲的なもの、3 松江の町、4 松平不昧公、5 出雲の人・物、6 出雲鉄と安来節





石見





1 石見の歌、2 石見の文化的要素、3 石見赤瓦と粗陶器、4 石見山間の町、5 石見半紙、6 石見における雪舟、7 石見と柿本人麿、8 三瓶山

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Lab 鎌倉奥乃院 益田寿永