川端康成と古美術
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古美術のコレクターとしての川端康成

ノーベル文学賞を受賞した川端康成ですが、古美術のコレクターとしても有名でした。
長谷にある「川端康成記念会」にはどれほどの美術品が保管されているのでしょうか。その中には国宝に指定されているものもあり、たとえば池大雅の「十便図」や与謝蕪村の「十宜図」。
川端の「反橋」という短編に古美術のコレクターとしての一面がよく表れていますが、そこに、
「美術品、ことに古美術を見ておりますと、これを見ている時の自分だけがこの生につながっているような思いがいたします。」(川端康成「反橋・しぐれ・たまゆら」株式会社講談社 1992年9月10日発行)という印象的な文章があります。

「千羽鶴」は古美術でも茶道の茶碗に取材した名作です。志野茶碗の妖しい魅力にゾクっとさせられますが、ともあれ、この小説を読んでから、私は写真にある円覚寺の茶室へ度々足を運ぶようになったのでした。
鎌倉の仏像

鎌倉には高徳院の国宝の大仏をはじめ多くの仏像があります。
川端康成は鎌倉の長谷に住んでいましたが、以前は同じ鎌倉の二階堂に住んでいました。近所には覚園寺があります。
覚園寺は往時の鎌倉の面影を最もよく伝えているお寺であると思いますが、仏像も多くあります。その一つに鞘阿弥陀仏像があり、これは観光客も普通に見ることができる仏像ですが、川端康成も気に入って、散歩がてら度々その前に立っていたそうです。
なお、上の画像の二体の像ですが、これらは私が気に入って度々見に行く仏像です。妙本寺の二天門にいらっしゃいます。
妙本寺には比企一族の悲史が纏わり、またあれだけの大寺であるにもかかわらず拝観料は取られません。入場はフリーなので、静けさを求めてちょくちょくここへやって来ます。
これら二体の仏像も私の求める静けさになくてはならないものです。
Lab 鎌倉奥乃院 代表 益田寿永


