鎌倉アルプス

川端康成 著「鎌倉アルプス」
鎌倉には主要なもので三つのハイキングコースがあります。次のとおりです。
「天園ハイキングコース」
「葛原ヶ岡・大仏ハイキングコース」
「祇園山ハイキングコース」
これらのハイキングコース以外にも六国見山や「巡礼古道」、朝夷奈や名越などの切通を含むハイキングコースなど、その他番場ヶ谷や大蔵稲荷を経由するマイナーなものまで勘定に入れると、実に多くのハイキングコースが鎌倉にはあります。
ちょっと大袈裟にいえば、鎌倉はハイカーの聖地だともいえます。
上の三つの主要なハイキングコースの中でもさらに主要なものは「天園ハイキングコース」でありましょう。このコースは「鎌倉アルプス」と呼ばれる、鎌倉市最高地点の大平山山頂を含む、鎌倉外輪山の尾根を踏破するものです。
一般的には、そのスタート地点は建長寺の半僧坊があるところで、ゴールは瑞泉寺であります。

実は「天園ハイキングコース」を幹線として見る見方ができ、つまり、少なくない支線がそこへ接続しているのであって、たとえば上に挙げた番場ヶ谷を通るコースは、途中に「お塔の窪やぐら」などを見学しながら、尾根へ出れば、そこは天園ハイキングコースなのであります。

あのノーベル賞作家の川端康成は意外にも健脚だったそうでありますが、彼は「鎌倉アルプス」という随筆で、天園ハイキングコースを伝って、最終的に東京湾に面した杉田まで歩いた道中記を綴っています。
私は長く疑問でした。「鎌倉から東京湾側の杉田のあんなところまで本当に山道を踏んで行くことができるのだろうか?」と。
ある日、私は上に記した天園ハイキングコースの支線、すなわち北鎌倉の明月院のある谷の奥から山に入って試してみました。
結果を先に記せば、私は東京湾側の金沢文庫までは歩くことができました。そしてその道の大部分は山道でありました。
明月谷から称名寺まで
秋日和の好日で、明月院へ至る参道の銀杏は美しく黄葉していました。

建長寺半僧坊上の勝上けんの展望台からは裾野を広げた富士山が望めました。

十王岩からの絶景は申すまでもありません。鎌倉市の最高峰、大平山からの眺望も然りです。


ゴルフ場脇の山道ではコゲラが巣穴から顔を出していました。

天園から道が二股に分かれ、金沢文庫方面へ行くには瑞泉寺方面ではなく、つまりここから天園ハイキングコースを外れて、また別の尾根道を歩きます。ここからは「湘南アルプス」と言うそうです。途中、いわゆる「鎌倉七口」以外の切通を通り、相武隧道の上を横切って、再び現れた二股の道を右へ行きます。


実は左の道を行ったことも二度ほどあるのですが、この道もなかなか歩き甲斐のある(横浜市の最高地点を経る)、カロリーの失われがちな山道です。山道をスルスルと蛇が横切っていくのに出くわしたことがあります。この道は昔の相模国と武蔵国の国境を辿る道で、たたら師が通った「たたらの道」としても知られています。瀬上池を経て栄高校がある辺りまで山道です。

右の道を行くと、やがて横浜横須賀道路を越すのですが、この辺りは東京湾のビューポイントで、またこの辺りだけは山道ではありません。
再び山道になると、能見台不動池や能見堂跡を経て山道を抜け出ます。金沢文庫駅まですぐですが、折角ですので、称名寺へ行くことにしました。遅速の私は、すでに明月谷からここまで6時間以上歩いていましたが、称名寺の紅葉見たさにもうひと踏ん張りしたのです。

称名寺は金沢北条氏の菩提寺で、全国にある浄土式庭園の最後の貴重な遺例なのだそうであります。国の史跡に指定されています。

有名な「金沢文庫」ですが、それがあった有力な候補地が称名寺の隣りの地所だそうで、下の写真の隧道を通り抜け出た先がそこなのだそうです。この隧道は中世期に造られたもので、金沢文庫と称名寺を繋ぐトンネルとして重要な遺跡なのだそうです。

最後の最後に、疲れもいっぺんに吹き飛ぶような称名寺の素晴らしい佳景に立ち会うことができて、この日は久しぶりに良い一日になりました。
鎌倉の観光ブックの紹介
私たちLab 鎌倉奥乃院が制作した鎌倉の観光ブックを以下に紹介します。
よろしかったらチェックしてみてください。
「鎌倉の鍵」 著者:遠田寿
以下、本の紹介の抜粋
鎌倉の街は緑の小箱。鍵をさして蓋を開けてみよう! そこにはたくさんの物語が詰まっています。
本書は鎌倉の初級編。それでも鎌倉の多面的、あるいはモザイク的全貌は示されています。さらに一歩踏み込んだガイドブックです。
写真をなるべく多く掲載し、ストレスなくご覧いただけるよう配慮しています。
目次:1 中世、2 境界地点、3 頼朝、4 実朝、5 大仏、6 作家、7 阿仏尼、8 Ozu、9 女優、10 海、11 江の島、12 庭
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「鎌倉の歴史と芸術」 著者:益田寿永
以下、本の紹介の抜粋
鎌倉という街は私たちを幸福にしてくれます。そして今や、その「私たち」とは、日本人だけではなく、世界の人々がこれに該当するでしょう。 中でもこの本の著者にとっては、その人生において、鎌倉は欠くことのできない必要な街になっています。鎌倉を思うだけで元気が出てきます。
どうして元気が出るのか?
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人々に幸福をもたらす街、元気にしてくれる街、鎌倉とは一体どんな街なのか?
本書では、「歴史」「和歌・短歌」「絵画」そして「映画」の四つのテーマから鎌倉の正体を明らかにしていきます。いずれも鎌倉に深く根を張っている重要なテーマです。
鎌倉を知ることは日本を知ることであり、それはその歴史と美しさに我が身がいつも包まれているということです。
ストレスなくお読みいただくための一助として、要所に写真を掲載しています。
大まかな目次:「鎌倉の歴史」「鎌倉の和歌・短歌」「鎌倉の絵画」「鎌倉の映画 松竹大船撮影所」
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Lab 鎌倉奥乃院 代表 益田寿永


