三島由紀夫が愛したスイーツ

三島由紀夫が愛したマドレーヌ

三島由紀夫が愛した日新堂菓子店のマドレーヌ

少なくとも三島由紀夫は、彼が亡くなる昭和45年(1970年)を含めて、それから過去7年の間、毎夏家族と一緒に伊豆の下田に逗留していました。





海が好きだった三島でしたが、彼はとくに下田の海を愛していました。

下田では、三島は地元の人々と親しく交流をし、また下田の人々も彼を特別視せず、たとえば橋の上で独り闊歩している三島に出会ったりすると、「やあ」という感じで気軽に話かけていたそうです。下田人の気質でしょう。

下田には鎧を脱した、ある意味本当の三島由紀夫の姿がそこにあります。

三島由紀夫は下田の色々なお店で彼の楽しいひと時を過ごしていますが、ここに紹介するのは「日新堂菓子店」というお店です。

三島由紀夫が度々立ち寄った菓子店

三島はここのマドレーヌを「世界に誇れるマドレーヌ」だと評し、下田に滞在中は度々来店し、買っていかれたとのことです。





ときに三島は彼を訪ねてきた仕事関係の人々や「楯の会」のメンバーたちのために大量買をするのですが、いつでも決まって歩いて来て、店主たちと談笑をし、そしてその重たいマドレーヌを「よっこら」と両手に抱えて歩いて帰られたのだそうです。「身体が鍛えられるから」と言って。

下田での三島由紀夫は、日新堂菓子店の店主 横山郁代さんの著書、

「三島由紀夫の来た夏」 扶桑社

に詳しいです。





三島由紀夫ファンの必読の書だと思います。

横山郁代さんはジャズシンガーでもあるのですが、彼女は多感な10代の頃にこの菓子店や下田の街の所々で三島由紀夫と会っています。

店内に飾られている18歳の横山郁代さんと三島由紀夫の写真

三島自決の3ヶ月前の夏、三島由紀夫はこの店にやって来て、帰り際、店の出入り口のところでピシッと足を揃え、大きな声で「さようなら!」と劇的に、そして丁寧な挨拶をしたとのことです(いつものように「また来るよ」とは言わなかった。)

日新堂のマドレーヌと坂田泥華の萩焼

ところで、下田はご存知のとおり、三島が敬愛していた吉田松陰ゆかりの地です。





偶然にも下田には「三島神社」という名の神社があり、ここには吉田松陰像があるのですが、三島はこの像を絶賛しています。

吉田松陰は山口県萩の人、というわけで、上の写真にある湯呑みは私が愛用している萩焼で、この三島の愛したマドレーヌとあわせてみました。




[br-xxlこの萩焼の湯呑み、実は萩焼の名跡、坂田泥華のものです。第十五代坂田泥華作です。ご覧のとおり、縁のところを少し欠けさせてしまいましたが、今ではこれも味わいだと心から思っています。

とにかく、日新堂さんのしっとりとほんのり濡れたようなマドレーヌは絶品です。さすがは三島由紀夫だと言いたいです。

Lab 鎌倉奥乃院 代表 益田寿永