鎌倉の洋館 旧華頂宮邸を訪問

華頂博信

華頂博信は華族であり軍人でした。「華頂宮」とは日本の皇室における宮家の一つで、宮家とは皇族の一家ということです。ちなみに、現在宮家は、秋篠宮、常陸宮、三笠宮、高円宮の四家ですから、華頂宮家は存在しません。

現在、鎌倉の緑豊かな宅間谷にある旧華頂宮邸は1929年（昭和4年）に華頂博信侯爵邸として建てられたものです。

華頂博信：1905年（明治38年）〜1970年（昭和45年）

旧華頂宮邸

旧華頂宮邸は竹の寺、報国寺のさらに奥、静かな宅間谷の中にあります。





「宅間谷」は日本史上よく知られた谷戸で、一つは主に中世期に活躍した絵画の流派、「宅間派」の工房がそこにあり、また一つは、これも中世期の所謂「上杉四家」の一つ、「宅間上杉家」の本拠がありました。

1929年（昭和4年）に華頂博信侯爵邸として建てられたことは上に書きましたが、この邸は、鎌倉に残る戦前の洋館としては長谷にある鎌倉文学館（旧前田侯爵家の別邸）に次ぐ規模を誇ります。





外観はハーフティンバースタイル（柱や梁などの木造の構造材を意図的に外部に露出し、その間の壁面をレンガや漆喰などで埋めて作られる建築様式）で、厳かな門、馬車回し、敷地内外の喬木の緑、広々としたフランス式庭園などと一体となり、往時の華やかな生活ぶりが想起させられます。





1996年（平成8年）に鎌倉市が取得し、現在、国の登録有形文化財に登録されています。





素敵な洋館ですから、多くのドラマや映画でロケ地として使われています。

その庭園はほぼ年間を通じて公開されていますが、建物内部は春と秋の年に二回、それぞれ二日間ほど公開されています。





内部公開のときは、そのサンルームや食堂などでコーヒーを楽しむことができます。

Lab 鎌倉奥乃院　代表　益田寿永