鎌倉国宝館
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鎌倉の国宝指定の文化財
歴史ある鎌倉ですから、当然、国宝指定の文化財は少なからずあります。しかし、あの関東大震災は文化財にとっても大打撃でした。そこでその震災を教訓にして文化財を災害から守ろうと、1928年といいますから、今からほとんど100年前に鎌倉国宝館が建設されました。
鉄筋コンクリート造りによる高床式校倉風の外観は、奈良の正倉院を模したといいます。

ところで、毎年9月は鶴岡八幡宮の一大行事である例大祭が開催されています。この時期、併せて鎌倉国宝館では寄託されている国宝の品々の展示がされていて、源頼朝ゆかりの太刀や硯箱などが見られます。
たとえば、それらの螺鈿で装飾された工芸美を目の当たりにすれば、単に美しいという感動よりも、そこに当時の制作者たちの巧みと美意識に思いが及んで、誇張なく、目頭が熱くなるのを覚えます。

「古いものほどいい」と、鎌倉文士の一人である川端康成は言っていましたが、この国宝館の中に入れば、その川端の言葉には大いに首肯してしまいます。
川端康成の作品には日本の中世の微光が感じられますが、私が中世を感じた初めは、この国宝館に常設されている「人頭杖」です。とくに「黒闇天女」の顔。
関東大震災と源実朝の歌

展示物もさることながら、その建物も見所です。無論、国登録有形文化財です。
外周には、上の写真にあるとおり、関東大震災で倒れた二の鳥居の脚が立ち、そこに源実朝の歌、多分、当時タッグを組んでいた後鳥羽院をオマージュした「山はさけ・・・」の有名な歌が刻まれています。震災で折れた柱に刻まれた歌として、私はとても相応しいと思います。
Lab 鎌倉奥乃院 代表 益田寿永


