ぼんぼり祭
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女優 山本富士子さん

鎌倉鶴岡八幡宮の「ぼんぼり祭」は毎年8月上旬に開催されます。境内に無数のぼんぼりが灯ります。
一つ一つ、皆様の作品を鑑賞してまわるのは至福の時です。
上の写真は女優の山本富士子さんのぼんぼりです。山本さんは毎年出展しているようですが、この写真のものはいつの年のものだったか・・・。とにかく、このぼんぼりは私がとても気に入っているものです。
墨書きされた十七文字がいい。
「富士仰ぎ 育ちし人の 凛として」
場所柄、私は源頼朝のことをいっているような気がしています。
というのは、少年時代から三十代の半ばまで、頼朝は伊豆にあって、きっと彼はそこからいつも富士を仰ぎ見ていたであろうから。
もちろん、山本さんご自身のお名前「富士子」にもかかっているとは思いますが。
山本富士子さんといえば、私にとっては小津安二郎監督の「彼岸花」で演じた幸子が忘れられません。
映画って素晴らしいです。だって造作なく、あの時のあの人に会いに行けるのですから。

実朝祭
8月9日のぼんぼり祭は「実朝祭」です。ぼんぼり祭は超一流の歌人、源実朝を偲ぶお祭りでもあるんですね。
この時期、まだまだ暑いですが、暦の上ではもう秋で、体で感じるより先に心で秋が感じられて、実朝の次のような歌もふっと思い浮かんだりします。私の好きな歌です。
秋ちかくなるしるしにや玉すだれこすのまとほし風の涼しさ
(斎藤茂吉校訂「金槐和歌集」岩波書店 2015年2月)

Lab 鎌倉奥乃院 代表 益田寿永


